落ちこぼれをつくらない
2017.02.02
カテゴリー:【社員教育コンサルタント】朝倉千恵子 氏
自己紹介
小学校教員を経て、35歳で人生の崖っぷちに立たされ、「地獄の特訓」で有名な社員教育研究所に入社。中途採用、営業経験ゼロからのスタート。
礼儀、挨拶を徹底した営業で、3年後には社員数200名超、年間売上げ23億円の企業で単独1億円を達成。ダントツぶっちぎりのトップセールス賞を受賞。その9割は、飛び込み営業などの新規開拓営業。
2001年に独立。有限会社朝倉千恵子事務所を設立。
2003年にオフィスを東京日比谷の帝国ホテルタワーに移し、2004年に株式会社新規開拓を設立。講師として全国を飛び回る。
自らの経験を生かした研修・講演は多くの企業から支持され、リピート率は98%を誇る。今現在、丸ビルにオフィスを構える。
また、働く女性の応援団長として自社にて「トップセールスレディ育成塾」を主催。全国から自分を変えたい!という女性たちが集まり、20時間のレッスンを共有する。
一回目のレッスン後から蛹が蝶になるごとく、激変する朝倉マジック。
その卒業生は2000名を超える。
【本日の議題】落ちこぼれをつくらない
株式会社新規開拓の朝倉千恵子と申します。
今回は私が企業の人財教育の世界に身をおいた理由についてお話ししたいと思います。
私は大学を出たあと、小学校の教員になりました。教員をやってわかったことは、本来“落ちこぼれ”はいないということ。
そうは言っても、子どもによって飲み込みの時間に差はあります。60分あるいは90分あれば理解できる子でも、授業は45分で打ち切られてしまう。理解できないまま前に進んでしまうから、よけい分からなくなり、勉強が面白くなくなる・・・。
つまり、問題は子どもにあるのではなくて、教える側にもあるのではないか。理解力のある子供の教育は誰にでもできる。しかし、飲み込みの遅い子どもを育ててこそ教育ではないか・・・。
このことに気づいてから、私は「絶対に落ちこぼれをつくらない」と決めました。要は、分かるまで教えればいい。子どもがどこでつまずいているのかを知り、そこを丁寧に教えることで、全員が理解できるはずだと。
授業45分でわからない子どもには放課後、教えました。それでも理解できないときには、毎日のように家庭訪問をして勉強を教えたのです。
そのうちに、周囲から「先生、やり過ぎです」と言われました。しかし、教育にやり過ぎはありません。すべての子どもたちがやればできるのです。ところが、呑み込みが他の子どもより遅いだけで、「お前はダメな子」とレッテルを貼られてしまう。それだけで優劣が付けられてしまうのです。
テストは100点取るまでやりました。「何回かかってもええよ。10点、20点のプリントは持って帰らんでええ。100点満点のプリントだけお父さんお母さんに見せるんやで」と言いました。
ある日、子どもが学校に来てこんなことを言いました。「先生、きのうなあ、100点満点のプリント持って帰ったら、お母さんが『これ何回目の100点?』って聞いたん。」「あんた何て応えたん?」「正直に言うたよ、10回目の100点やって答えた」「そうか、偉いな。そしたら、お母さん何て言わはったん?」。「なんや、10回目か」そう言ったと言うのです。
子どもは目に涙をいっぱい浮かべながら私に報告をしてくれました。褒めてもらえると思って見せた100点のプリントに対して、母親から出てきた言葉は褒め言葉ではなかったのです。
まだ新人教師の頃です。その話を聞いてものすごく腹が立ったのです。授業が終わってすぐに電話をしました。 「お母さん、なんてことを言うんですか。あの子にとってみれば10回目でも20回目でも自力で取った100点満点です。そこを褒めてあげないでどこ褒めるんですか」と。
気が付いたらあっという間に学校中に噂が流れました。「変な先生が入ってきた」と。確かに変でした。こだわりが半端じゃなかったのです。しかし、そんな私の悪い噂を消してくれたのは、ほかでもない子どもたちでした。「先生のこと悪く言うな!」と・・・。
もしかしたら、大人の教育も子どもの教育も同じではないかと思うのです。どんな上司に巡り合うかによって部下の未来が変わるといっても過言ではない。だからこそ、上司は部下の成長に責任があるのだと。